住所 | 滋賀県高島市新旭町 太田1524 |
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TEL | 0740-25-2075 |
醸造量 | 400~500石 |
創業 | 1860年ごろ |
アクセス | JR新旭駅よりコミュニティバス新旭東循環線乗車、「大田神社前」停留所を東へ徒歩約3分 |
この地で造って約150年。米の持つコクと甘さをひきだすため山廃仕込みにこだわり、全国でも1、2蔵しか行っていない、全量木槽天秤しぼりを実践する。メインの「不老泉」のブランド以外にも、幻の米といわれた亀の尾で造る「亀亀霸(かめかめは)」など新しいことへのチャレンジも忘れない。
「田舎の家が1軒建ちますよ!」という高価な機械が大型精米機。39ある県内の蔵でも3社しか持っていないという。品種やその年の出来によって違う米の状態にあわせ、自分の手で行う精米がその後の工程に影響する部分も多いという。
「場所も取るし、年間で約4ヵ月しか稼働しないのにもったいない」と自嘲しながらも良い仕事をすると胸を張る自慢のマシンだ!
高価な精米機と、正反対なのが水。
比良山系の水が琵琶湖に流れ込むこのあたりは、
5mも掘れば水が湧き出る。この良質の軟水は0円。
醪(もろみ)からお酒を搾りだす作業に「木槽天秤しぼり」を採用。石の重みでじっくりと加圧しながらお酒を搾るため、機械だと1日ですむ作業が3日かかり、しかも機械の85%しか搾りきれない。酒袋の洗浄などもふくめ、機械でのしぼりに比べると手間がかかることだらけだがその分、雑味の無い旨い酒だけが抽出できる。
「大変なんですけど、木の甑で蒸した米は、立っているんですよ!」と手間がかかることを楽しそうに語る
蔵元・上原績さん。
山田錦、玉栄、雄町、渡船などのほか、幻といわれた亀ノ尾など6~7種の米を使い、ブランド名も不老泉、寿扇、杣(そま)の天狗、亀亀覇など10種以上。
これに、生、にごり、搾るタイミングなどでも商品化。舌の肥えたファン達の期待に応えるためムダも多いし労力がかかるが、小ロット多品種化に挑む。
蔵に直接買いに来る客も多数。販売用冷蔵には、まだ販売していないもののサンプルも。山廃中心のため秋から発売する酒も多い。
推定築150年の仕込蔵。夏場だと外よりあきらかにひんやりとした冷気を感じる理由は、土蔵の壁。高い天井には、もう替えのきかないであろう極太の梁(はり)が1本通る。この状態を守るためには、夏場のふき掃除が欠かせない。仕込み用の木桶も夏の間に木が縮み、冬場に使いはじめるまでに水を大量に吸わせてからでないと使えないなど、手間のかかることのデパート状態。
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ここで造られるほとんどの酒が熟成し、味が安定するまで時間がかかる山廃仕込み。そのため、巨大な冷蔵庫がたくさん必要。
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木槽の天秤棒から樽に登るはしごまで、木製品には柿渋を塗る。
大切な道具たちの劣化の速度を下げ、長持ちさせるための知恵だ。 -
この木の甑(こしき)で米を蒸す。
仕込みにまで木桶を使う蔵は非常に珍しい。夏場は写真のように木の間に隙間ができる。
上原酒造の看板ともいえる純米酒。あえて三年以上蔵で熟成させてから出荷する。
そのため香りや酸味が強く、その濃厚な味わいに目を丸くする日本酒ツウも多い。
できれば、そのまま飲んでほしいが、ロックやお湯割りでも楽しめる。
辛口
原料米 | たかね錦 |
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精米歩合 | 60% |
酵母 | 天然酵母 |
仕込水 | 軟水 |
日本酒度 | +5 |
酸度 | 1.8 |
度数 | 17~18 |
もともと米の甘さが特徴である渡船を、山廃と木槽天秤しぼりで仕込むことで、より濃酵な純米吟醸に仕上げている。口当たりは、まろやかだが、あとからグイッと旨さが広がる。この蔵の特徴がしっかり出ている。
やや辛口
原料米 | 滋賀渡船6号 |
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精米歩合 | 55% |
酵母 | 天然酵母 |
仕込水 | 軟水 |
日本酒度 | +4 |
酸度 | 1.8 |
度数 | 17~18 |